研究内容4 地理情報システムの応用
GISはコンピュータ上で動くソフトウェアであり,通常入手できるものは,汎用的GISです.それらは,一般的な空間解析機能を多く持ち,私たちは場面に応じて必要な機能を組み合わせながら利用します(下図).
汎用的GISはマクロ言語や外部プログラムとのインターフェースを持っています.それらを使うと,汎用的GISの空間解析機能を生かし,ある特定の目的に適したGISアプリケーションをつくることができます.
例えば,代表的なGISであるArc/INFOを使って,保育施設計画立案支援システムの開発を行いました.このシステムを使うと,ある地域に保育所を立地させる場合,どこに配置すれば効果的か,より多くの利用者が恩恵を受けるか,という問題を探索的に解くことができます.
また現在は,ヒートアイランド現象をシミュレートし,都市計画的な対策を見出すためのシステムの研究を行っています.現在話題となっている首都移転問題を取りあげ,移転の際のヒートアイランド現象を予測したり,都市内の緑地配置パターンを変えることでヒートアイランド現象を緩和できないか,といった問題に取り組んでいます.このようなシミュレーションでは,土地利用などの空間データが必須ですから,GISはシステムの基盤として最適であると言えます.
さらに,複雑な都市のパターンの中から重要な骨格部分,即ち,都市構造を抽出するシステムも開発しています.都市は極めて多様な土地利用・建物利用から構成されていますが,それらを「大雑把な目」で見ると,都市の骨格部分が見えてきます.GISでは,詳細な土地利用・建物利用データを利用することができますが,それを分析して都市構造を抽出します.このシステムは,複雑な空間構造から重要な部分を抽出する,より汎用的なシステムへと発展する可能性を持っています.
このように,GISの空間解析機能を生かすと,様々な応用システムを構築することができます.他にも例えば,自動地区分類システム,広告効果評価システムなど,GISの新しい応用を行っています.
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