研究テーマ


空間情報科学は、空間に関わる情報(地理空間における位置とそこに紐付けられた情報)をコンピュータ上で体系付けて扱っていくための理論、技術、制度、その現実世界における利活用などを包括的に研究する学問分野です。当研究室ではこの空間情報科学を中心として、人の行動と人を取り巻く環境について幅広い研究を行っています。 空間情報科学の中で特に専門としているのは、空間統計学など計量的(数学的)な手法を用いて空間データを解析する空間解析です。医療や人の健康に関わる問題を地理学的な視点から扱う医療健康地理学に、空間情報科学と空間解析の手法を適用して、健康的な都市環境づくりを目指して研究を進めています。

専門分野:
空間統計学及び計量的空間解析
空間情報科学及び地理情報システム (GIS)
医療健康地理学
都市居住環境と健康

Keywords:   
空間情報科学, GIS, 空間統計学, 空間解析, 時空間モニタリング, ネットワーク上の空間解析, 医療健康地理学, 近隣住環境, 肥満, 身体活動, ウォーカビリティ, 食生活環境, ...

中央大学 Open Campus 2013の資料:   
研究室紹介      ポスター1      ポスター2

最近の主要研究テーマを、以下で簡単に紹介します。

(1) 都市のウォーカビリティと健康

ウォーカビリティ(Walkability)は、都市の歩きやすさを表す概念で、日常生活の中の主要な身体活動である歩行を促し健康の維持・促進に資する機能として、深刻な肥満問題を抱える米国など西欧諸国を中心に注目を集めています。超高齢社会を目前に控えた日本においても、国民全体の健康を底上げしていくことは必須の課題です。当研究室では、空間データとGISを駆使して都市のウォーカビリティを測定し、健康との関連を客観的に明らかにするプロジェクトに取り組んでいます。

Land use mixture
都市ウォーカビリティの指標としての土地利用多様性
(データ提供: Utah Automated Geographic Reference Center)

(2) 統計的手法による空間パターンの検出

空間解析は、データの中から特殊な(予期しない)空間パターンを検出することから始まります。そうすることで、その事象(例えば、疾病の発生)に空間的・環境的な要因が影響する可能性を見つけることができるからです。 当研究室では、空間パターン検出のための空間統計学的手法の開発や、それらの手法を実際のデータに適用した研究を行っています。

California LBW
米国カリフォルニア州における低出生体重リスクの時空間解析 (1984-2004)
(データ提供: Center for Health Statistics, California Department of Health Services)

(3) 空間パターンの変化を早期に検出するための時空間モニタリング

情報技術の発展に伴い、ある事象がいつ、どこで発生したのか、時間と空間、双方の詳細な情報を持つデータが大量に、時にはほぼリアルタイムで得られるようになってきています。 こうしたデータを解析し、空間パターンの変化や新しく発生する空間パターンをいち早く検出するための手法は、時空間モニタリングと呼ばれ、感染症の拡大などを監視するためのシステムとして期待されています。(2)と同様に当研究室でも、手法の開発や実装に取り組んでいます。

GeoSurveillance screen shot
ニューヨーク州立大学の Peter Rogerson教授と開発したGeoSurveillance ソフトウェア