研究内容5 空間データの品質



 空間データというと全てデジタルなものですから,非常に正確なものを想像しがちです.ところが実際には,空間データには様々な種類の誤差が含まれており,我々の現実世界を本当に正確に表現しているわけではありません.空間データを利用するときには,この誤差がしばしば厄介な問題を引き起こします.そこで,この空間データの品質という問題をいくつか研究してきています.特に,個々の空間データよりも,複数の空間データを組み合わせたときに生ずる様々な問題がテーマです.
 例えば,町丁目別の居住人口に関する空間データがあったとします(下図左).このデータを基にして,ある別の領域の人口を推定したいというとき,よく用いられる方法が面積按分法です.この方法では,各町丁目内の人口を面積で按分し,人口を推定したい領域で合計します(下図右).面積按分法は極めて一般的に用いられていますが,それによって得られる推定値は必ずしも正しいとは限りません.そこで,推定誤差を何らかの方法で評価し,できるだけ誤差が小さくなるような手段を講ずる必要があります.この,推定誤差評価という点に着目し,元データの空間集計単位と推定誤差の関係,人口分布が推定誤差に与える影響などを理論的に研究しています.



 ある領域の人口,より広くいえば,点オブジェクトの個数を推定する方法は他にもいくつかあります.例えば,代表点内包法(下図),pycnophylactic法,補助データ法などです.これらの方法を比較し,場合に応じた使い分けの指針なども考えています.



 2つの領域分割データ(例えば行政界データ)を重ねる場合には,さらに多くの問題が発生します.例えば,極めて多くのポリゴンが発生し,データベースがパンクするということがあります.



 また,作成者の異なる二つのデータを重ねると,本来同じものを表しているはずのデータが一致しないということも起こります.このような問題を解決するための研究を,現在科学技術庁研究プロジェクトの一つとして行っている最中です.



 このように,GISの空間解析機能を生かすと,様々な応用システムを構築することができます.他にも例えば,自動地区分類システム,広告効果評価システムなど,GISの新しい応用を行っています.


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  6. 空間情報の表現と知覚
  7. その他
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