近年,GISを利用したスポーツ・データの分析が盛んになりつつあります.サッカーやラグビーなどの団体競技から,テニスのような個人競技まで,空間的な人間やボールの移動パターンを分析することで,選手のプレーや戦局の評価を行い,有効な練習方法や戦略を立てようという試みです.

例えばサッカーの場合,Prozone Sports,ChyronHego,Opta Sports,Mastercoach,Impireなど多くの民間企業が選手やボールの動きをビデオで追跡して空間データ化するシステムを開発しており,欧米のプロチームはそれらを戦略分析に役立てています.テレビ中継で表示される,選手の走行距離やボール支配率といった数字も,こうしたデータに基づいて計算されています.

下図は,全米女子大学の試合中におけるゴール場面を動画にしたものです.青とピンクの点が両チームの選手,白い点がボールを表しています.左はグラウンドの全体図,右はゴール付近の拡大図です.

 

こうした動画は,個々の場面を表す空間データを繋いで作成しています.下図はいずれも,青のチームの選手が右側から左側に攻撃している場面です.

 

このようなデータを用いると,サッカーの試合に関する様々な分析が可能です.例えば上の2つの場面で,ボールを持っている青のチームの選手がパスを出せる領域を図化すると,それぞれ下図のようになります.

 

現在私達は,サッカーの専門家と共同研究を行っています.このようなデータの分析は,サッカーというスポーツの研究に役立つだけでなく,空間情報科学の理論構築にも大きく貢献します.一緒に研究して頂ける方,分野を問わず大歓迎です!

データ提供:Prozone