私たちの生活を取り巻く都市環境は,実に複雑で混沌としています.下の図は,千葉市の商業施設分布を,業種別に色分けしたものです.



一見すると,分布には何の規則性もないように思います.しかしそれは本当でしょうか.

例えば下の右図のような分布を考えてみましょう.ここにも規則性はなさそうですが,下の左図のような5種類の商業施設の組み合わせが,右図の中にも見つかります.隠れた空間パターンがあることがわかります.

     

地図をただ眺めているだけでは,このような規則性を見つけるのは簡単ではありません.そこで,大量のデータの中から空間パターンを自動的に見つける方法を開発しました.

この方法を,千葉市の商業施設分布について当てはめてみたところ,下の表のような業種の組み合わせを見つけることができました.




それぞれ地図で見ると,下図のような分布をしています.

   
C1:大規模かつ新興の商業集積
 
C2:大規模かつ伝統的な商業集積
 
C3, C4:居酒屋なども含む,伝統的な中小商店街
【定食屋,金融業,化粧品販売,喫茶店】
 
【呉服店,生花店】
 
【居酒屋,スナック,コンビニエンスストア,
美容院,クリーニング】


 
C7, C8:住宅地内に散在する小規模商店街
 
C9:郊外のショッピングセンター
【すし,理容店】
 
【うどん・そば,ラーメン,ファーストフード,
スーパーストア】

最近は,上のような詳細な空間データが広く流通するようになりました.しかし,大量のデータの中から規則性を見つけるのは簡単ではありません.データの中から様々な空間パターンを見つける,そのような手法の開発を行っています.

出典:Sadahiro, Y. (2012). Quantized spatial analysis: A new framework for analyzing the relations among the distributions of spatial objects. Discussion Paper, 109, Department of Urban Engineering, University of Tokyo.