国内の47都道府県には,それぞれ地方を指し示す様々な方法があります.新潟県では上越,中越,下越,佐渡,福島県では浜通り,中通り,会津など,歴史に根ざした地域区分が今までも生きています.このような地域区分は,一体何によって規定されているのでしょうか.

下の図は,長野県の4つの地域区分と地形図を重ねたものです(白色が強いほど,標高が高い地点を表しています).

     
地方(東信,中信,南信,北信)
 
広域(10地域)
 
教育委員会連絡協議会(15地域)
 
市区町村( 224地域)

地域の境界線は,山の尾根線に沿って決められている様子がよくわかります.地形という自然環境が,地域区分という社会環境に影響を与えていわけです. それでは一体,地域区分は地形によってどの程度,規定されているのでしょうか.それを数値で測る方法を考えてみました.

下の図は,赤色の濃さによって,地形による規定度の高さを表しています.大きな地域区分ほど,地形の影響,即ち,尾根線に沿って決められていることが分かります.県全体としてみると,95%以上の境界線が,自然地形(尾根線)によって規定されていると言うことができます.

     

但し,下図の緑色の線のように,ように,谷線(河川,白色)に沿った境界線も幾つか見られます.

    

日本は急峻な地形が国土の多くを占めており,私たちの生活は古来から,自然との共存を前提として成立していました.科学技術の発達した現在であっても,私たちの生活は自然環境に深く根ざしています.

出典:Sadahiro, Y., & Oguchi, T. (2011). Modeling a spatial tessellation by a set of other spatial tessellations. Discussion Paper, 106, Department of Urban Engineering, University of Tokyo.