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  1. 時空間分析,時空間現象のビジュアライズ

    空間情報科学で通常用いられる空間データに加えて,現在,時間次元を付加した時空間データについても整備が進められている.しかし,適切な観察手段がなければ,時空間データの利用は地点ごとの時間変化やスナップショットの観察に限定され,データの持つ情報が存分に活かされない.そこで,時空間における現象の振る舞いをモデル化し表現する方法の開発が重要となる.これまでに,対象の空間分布と発生消滅過程をモデル化し,両者を符号語長[bit]という同一指標をもって統合的に扱う方法や,彩色(色相と彩度)に次元の表現を担わせ1枚の図の上で時空間様態を可視化する方法等を用いてきた.さらに現在は,アニメーションによる表現を組み合わせる試みを進めている.これらの手法を用いて現象の時空間分析を行っていく.

     

  2. 領域分割の最適化

    膨大なデータから現象のもつ全体構造を見出すためには,適切な分解能で現象を観察しなければならない.すなわち,データの偶然の揺らぎではなく本質的な類似性をもった空間範囲を空間情報の集計単位とする必要がある.そのための一つの試みとして,MDL(Minimum Description Length)基準をモデル選択基準とした領域分割の定式化を進めている.まず現象をモデル化する確率分布のクラスを定義し,その中でMDLに照らして最適なモデルを求めるという手順をたどる.分割には二分木矩形分割を採用してきており,二分木の再帰的構造を用いることによって,データ適応性のある大域的最適な分割を効率的に探索するアルゴリズムを実現している.これまでに取り組んできた研究では,テナントの空間分布と発生消滅過程による東京中心部の適切な領域分割や,建築物規模構成によるダマスクス旧市街の適切な領域分割等を定式化してきた.それぞれ求められた領域分割をベースにして時空間または空間分析を行った.

     

  3. オブジェクト同定

    時空間データ取得手段の一つとして,既存の空間データの蓄積から時空間データを作成することが考えられる.様々な誤差や曖昧さを含む空間情報において複数時点間の対応関係を取るためには,有効なオブジェクト同定法が必要である.そこで,幾何学情報と属性情報の両者の曖昧性を考慮に入れた建築物およびテナントの同定方法を考案した.位置情報と属性(名称・年次等)情報を用いて定義した非類似度によって,全ての年次の建築物(テナント)をクラスタリングし,同一クラスタに分類されたものを同一建築物(テナント)と判断する.この手法を山手線環内をほぼ包含する東京中心部の5年分の住宅地図データベースに適用し,延べ165万[棟・年]の建築物情報および延べ485万[件・年]のテナント情報からそれぞれ時空間データを作成した.

     

  4. 空間と出来事

空間情報科学では,従来の地図上に記載されていた「もの」だけでなく,様々な情報を組み合わせることによって多様な「こと」をも表現し,捉えることが可能となる.我々が生きつつある世界は,本来多くの出来事によって構成されている.膨大なデータに基づいて世界の諸出来事を俯瞰できる空間情報科学の手法を活かしつつ,概念的なアプローチおよび具体的で定量的なアプローチの両面から,空間と出来事についての考察を進めている.